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経済


「敗者のゲーム」チャールズ・エリス
本来の副題は「なぜ資産運用に勝てないのか」だけど、自分だったら「長期投資とインデックスファンドのすすめ」にするなw

この本が書かれた時点では、(おそらくアメリカの)マーケットの取引総額の9割を機関投資家が占めていて、訳者は「機関投資家のシェアが拡大することはあっても縮小することはない」と思っていたようです。
しかしながら、日本では2005年の個人投資家の年間平均シェアが4割近くに達していて、新興株式市場では個人投資家のシェアが8割前後に及ぶと言われています。
投資は再び「勝者のゲーム」になっているんじゃなかろうか。

まあ、読んでおいて損はないと思うけど、勉強熱心な人にはどこかで読んだような話が多いように感じるかもしれない。
元ネタは本書なんだろうけど。
あと、II部のいくつかの章が少し退屈。
機関投資家や投資顧問との定期的な会議の話をされてもねぇ……。
とはいえ、長期運用方針の話なんかは参考になる。

また、主題とは関係無いけど、寄付の文化が根付いていることが何となく印象に残った。

なんか全体的に辛口になってしまった気がするけど、就職したらインデックスファンドを積み立てようと自分に決心させた位には影響力あると思います。
しかし、来春から世界物価連動国債ファンドを積み立てようと思ってたんだけど、それにインデックスファンドを追加して、さらに自社(というか親の親)の株も(割引購入できるから)買うとなると手取りいくらになってしまうんだろ(汗
H18.6.22
<補足>
敗者のゲームとは、敗者のミスによって勝敗が決まるゲーム、という意味。
一方、勝者のゲームは勝者が得点を勝ち取った結果、勝敗が決まるゲームを指す。
で、筆者の主張は「投資は敗者のゲームである」ということ。
H20.4.12
「貧困の克服」アマルティア・セン
この本はセンの4つの講演論文「危機を超えて」「普遍的価値としての民主主義」「人権とアジア的価値」「なぜ人間の安全保障なのか」がまとめられたもの。
その為、内容に若干重複があったりする。

経済発展の為には単に市場メカニズムを導入するだけでは不充分で、教育、医療、土地制度等に対する適切な政策が必要になるという部分が興味深かった。
指摘されれば当たり前と思えることなんだけど、経済の議論をする時にこういう話はつい忘れがちになってしまうものだと思う。

他にはあまり本質的なことではないけど、孔子に対する欧米の一般的理解の話が印象的だった。
国家への忠誠とか権威主義的な文脈で語られているのね。
原典に当たることの大切さを実感した。
まぁ、原典に当たるというのもなかなか難しいことであるけど。

個人的には「人間の安全保障」に対して自分が持っていた胡散臭さを払拭できたことが大きかった。
反グローバリズムとセットで語られることが多いような印象を持っていたけど、センはむしろ反対のことを言っていた。
曰く、グローバリゼーションの反対側に位置するのは偏執的な分離主義や頑迷な経済孤立主義である、と。

他にも、示唆に富む話が多くて面白かった。
H18.2.21
「おじいさんは山へ金儲けに」村上龍
現代版「学問のすすめ」といえるかもしれません。
またひとつ新たな見解を得ることができました。
「リスク」ピーター・バーンスタイン
原題は「Against The Gods」
「リスク」という概念が生まれる前の古代ギリシャから始まって現代に至るまで人類がどのようにリスクと戦ってきたか(=神々の定めた運命から逃れようとしてきたか)を描く。
内容も数字体系の話から確率論の発見、統計学の発展、保険の誕生などを経て、現在の金融工学・行動ファイナンスに至るまでとボリューム満点。
実用的観点から読んでもいいかもしれないけど、個人的には読み物として読むのがいいと思う。
H18.4.22
「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」門倉貴史
タイトルに比して、中身はバラエティーに富んでいてなかなか楽しめ、税金に関してはかなり参考になる部分があった。
ただ、ちょっとポピュリズム的な言説が目に付いたけど……。
「支出税」は話としては面白いけど、いかんせん実現性が薄い。(筆者自身も認めていたけど)
技術的には将来可能になるだろう(これは俺の想像)けど、収入と支出の全てが税務当局に把握されるっていうのはぞっとしない。
まぁ、誰から見ても望ましい税制なんて不可能なわけで、ユートピアの制度をあれこれ考えるよりは現実を多くの人にとって(全員とは言わない)少しずつ望ましい方向に変えていくほうがいいんじゃないかと考える俺は保守主義者。
H17.11.22
「ヤバい経済学」スティーブン・D・レヴィット、スティーブン・J・ダブナー
副題は「悪ガキ教授が世の裏側を探検する」
経済学のツールを使って、通念を引っくり返したり、意外な事実(?)を暴き出していくのがおもしろい。
個人的にツボだったのが「出会い系サイトにおける女性の金髪の価値は大学の卒業証書の価値と大体同じ」ってやつ。
親の属性・行動と子供の成績との相関について分析する話は普通に参考になった。
でも「ちゃんとした経済学」を期待する向きにはお勧めできません。
H18.7.26
いつの間にやら増補改訂版が出ていました。
この本読んだのつい最近だと思っていたけど、いつの間にか1年半以上経ってるっていうね……。
光陰矢の如し……。
H20.2.18
「起業バカ」渡辺仁
(筆者自身の経験も含め)多くの失敗例を交えながら起業について考察していくんだけど、興味深い話が満載だった。
特に、貸し渋り対策に政府が投入した資金(つーか税金なんだけど)が資金繰りに困ったベンチャーを窓口にして裏勢力に流れる話。 こういう世の中の裏側の話に触れる機会ってなかなか無いからねぇ……。
他には、フランチャイズの話かな。最近バイト先がフランチャイズ展開し始めたんだけど、本の記述と自分の見聞きした現実とのオーバーラップが楽しめた。
それから、クレイフィッシュ、ハイパーネット、(敢えて)オン・ザ・エッヂあたりの話も印象に残った。
……まぁ、ついつい派手な話に目が行きがちになってしまうけど、ただの(?)失敗例も普通に興味深い。 将来起業したい人は読んどくといいと思う。
あと内容には関係無いけど、光文社ペーパーバックスの方針でキーワードが英語で併記されているので英語の勉強にもなったんじゃないかと思う。(おまけ程度だけど)
光文社ペーパーバックスはかなり熱いと思う。
好評既刊をざっと見ただけでもひところ話題になった本がかなりあるし、他にも興味深いテーマの本が多い。
まぁ、基本的に日本に対してネガティブみたいだけど……w
H18.7.9
「デービス王朝」ジョン・ロスチャイルド
「王朝」というのはちょっと大げさかもしれない。
20世紀初頭から三代に渡ってウォール街を生き抜いてきた一族の話。
普通に話として面白いし、米経済の歴史の勉強にもなるし、投資の勉強にもなるということで、一石三鳥の本。

全然関係無いけど、第二次大戦中のアメリカの様子が描かれていたのですが、向こうも配給制になっていたりしてそれなりに苦しい戦い(一般市民に負担を強いるという意味で)をしていたみたいです。 今まで一般人は普通に暮らしていたのかと思ってたので意外でした。

初代デービスは、38歳で投資を始めてから50年弱で5万ドルを9億ドル近くにしたようです。
インフレを考慮に入れたって半端ありません。
その間、どんな投資をしたかといえば、ほとんど保険株だけだというから恐れ入る。
そんなわけで、しばしばAIGの話が出てきて同社CEO(当時)のグリーンバーグが絶賛されてましたが、去年発覚した不正会計処理問題を知ってる身としては少し複雑ですw
この辺の話もフォローされていたら、もっと面白かっただろうに……。
クリス(デービスの孫)はどう対処したんだろう?

デービスは偉大な投資家であると共に、偉大な倹約の精神の持ち主であったようです。
何でも孫に1ドルのホットドッグをねだられて「この1ドルは50年後に1000ドルになる。お前は1000ドルのホットドッグを食べたいほど腹が減っているのか」みたいなことを言って断ったそうです。
そういえば、バフェットも倹約家という話ですね。

バリュー投資をする上で、それまでに培った倹約精神は非常にプラスに働くんじゃないかと思いました。
「野菜が値上がりしても慌てて買わずに、安くなるまで買い控える」なんて株にもそのまま当てはまる気がしますし。

自分は最近浪費しがちなので生活を見直そうかと思いました。

「1ペニー節約すれば、1ペニー稼いだのと同じ」by アメリカ建国の父、ベンジャミン・フランクリン
H18.10.23
「へぇ、儲かる会社はこんなことをやっているんだ!」小山政彦
著者は船井総研の社長。
ケーススタディがいろいろ載ってて、単純に読むだけでも面白い。
一番印象的だったのは「売上10%アップより売上30%アップの方が簡単」ってやつ。
理由は、売上10%アップだと今までのやり方の延長線上で考えるけど、30%アップだと革新的な方法を取らざるをえなくなるから。
最初はどうもしっくりこなかったけど、前提として、限界まで絞った雑巾があったとして、それ以上絞っても水は出ないけど、新しい雑巾を持ってきたり、雑巾に水を与えてやればまた水が出せるって感じかなと考えて納得できた。
確かに力一杯雑巾絞るより、1回水を与えてもう1回絞るほうが簡単だ。
ビジネスマンにとって色々なヒントが詰まってるんじゃないかと思う。
H18.11.13
「初乗り610円にダマされるな!」橋本賢一
タイトルだけだと、前提知識不必要の一般向け本みたいだけど、サブタイトルは「経済性工学の意思決定」ということでなかなか骨がある。
そのため、会計とか経営学に関する基礎知識がある程度ないとちょっと辛いかもしれません……。

個人的には、自分が経済学と財務会計に傾倒していて、経営学と管理会計への理解が抜け落ちていたことを認識できた。
こっちも方面も勉強しないと……。
H19.2.27
「バフェットからの手紙」
バークシャーハサウェイ社の株主に送られる「会長からの手紙」をテーマ別に編集して一冊の本にしたもの。
バフェットによる著書がない現在において唯一、バフェットの言葉のみで構成された本らしい。

一番響いたのは「まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うことの方が、はるかに良い」でした。

あと、バフェットもいろいろと失敗を重ねていることが分かって少し勇気付けられた。
「成功」の部類に入れてもかまわないような「失敗」も多い気がしたけど。

個別株を徐々に、インデックスファンドにしていこうと思っていたけど、個別株は個別株で続けていこうと考え直した。
もはや、趣味みたいなものだし。
今までを振り返ってみると、素晴らしい企業を探すことより、まずまずの価格で売ってるまずまずの企業を探すことに多くの努力を傾けてたので素晴らしい企業を探すことに注力しようと思う。

手始めに、最近良い評判を聞いた万有製薬について調べてみようと思ったら既に米メルク社に買収されてたorz
H19.8.5
「ラブホテルは今日も満室!」山村剛人
ラブホテルファンドの説明会に行ったら貰えた。
早い話、ファンドの宣伝本。
大体の内容はセミナーで出てきたものだけど、それ以外の話もチラホラ。
ただ、ちょっと情報が古いかも。
H19.8.30
「金貸しの日本史」水上宏明
貨幣の誕生以来、人の歴史は「金貸しと借金」にずっと振り回されてきた。日本最古の銭で賭博にはまった天武天皇、政府自らが金貸しをしていた律令時代、貨幣が行き届いて徳政令に揺れた鎌倉期、大名から百姓まで借金で縛り太平の世を築いた江戸幕府、明治の文明開化も高利貸しのおかげ…。いつの世でも疎まれながら、しかし決してなくなることのない存在、「金貸し」。全く異質な観点から日本史を読み直す。

というわけで「金貸し」と「借金」をテーマにした日本通史。
これは手に取らざるを得ない。

徳政令の話や上限金利の変遷なんかが興味深かったです。
特に消費者金融にがっつり投資している身としては。

上限金利なんて、せいぜい明治になってからできた制度かと思いきや実は江戸時代からあったことに驚きました。
しかも、享保の改革で、年二割が相場だったのが一割五分になって幕府に嘆願とかしてたらしい。
もっともこれは札差と言われる大名とか向けに金を貸していた業者の話。
今でいうホールセール?
リテールのほう、つまり庶民は年利に直すと360%だったり、3600%だったらしい。
H19.8.21
「借金中毒列島」
サブタイトルは「プロが語る消費者金融のウラオモテ」
1960年代から消費者金融を経営していたという室井忠道とライターの岸川真との対談。
バブル期以前、大手の寡占が進む前の消費者金融業界の一端が垣間見られる。

昔は担当者制といって、客と対面して貸す額を決める人間が回収も担当していて、回収できなかった場合自分の評価が下がった(婉曲表現)らしい。
その担当者制が過剰貸付への抑止力となっていたという話には、なるほどと思った。
一方、現在の大手は貸す側と回収する側が完全に分かれているんだけど、まあ、どちらも一長一短があるよなぁ。

自己破産の理由の実態も興味深かった。
理由のトップは「生活苦」なんだけど、実際は浪費から始まっていたり……。

自分の報酬分を借りさせてから破産させる弁護士とか、もうね……。

業者にしても、複数の保証人から二重で回収したりとか……。

上限金利はどんどん下がってきているけど「消費者」が賢くならない限り、問題はなくならないだろうと思った。
H19.9.9
「デリヘルの経済学」モリコウスケ
サブタイトルは「すべてのビジネスに応用できる究極のマーケティングノウハウ極秘公開!」
デリヘルを経営してみたい人にとっては、読んで損は無いかなというところ。

デリヘルの市場規模の相対的大きさに驚く。
ソープランド:9819億円
キャバクラ:9900億円
ヘルス・イメクラ:6708億円
ピンサロ:6457億円
に対して、デリヘルは2兆4000億円。
性風俗産業の半分弱はデリヘルが占めてるってことになるっぽい。
そんなに流行ってる印象は持ってなかったので意外だった。
店舗が無いのと、隠れて利用されているからなのかな……。

ちなみに、SMクラブの市場規模は2400億円。
けっこう需要があるんだなという印象。
H19.9.5
「サラ金崩壊」井手壮平
「利息制限法」が定める上限金利(元本の金額に応じて年15~20%)と「出資法」が定める上限金利(29.2%)の間の、「グレーゾーン金利」廃止までの動きを追ったノンフィクション。金融庁、消費者金融業者、政治家など、関係者の攻防を描写する。

サブタイトルは「グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争」


無味乾燥な議論の積み重ね(自分としてはこっちが重視されるべきだと思うけど……)ではなく、いろんな人の思いや、なんだかんだで「世論」が流れを作っていくんだなぁと感じた。
新聞記事を追ってるだけじゃ決して分からない、世の中(大雑把過ぎかな?)がどう動いていくのかの一端を垣間見れるのではないかと思う。

そういう意味で、直接グレーゾーン金利とかに興味がない人にも割りとおすすめ。
逆に、これだけ読んで分かった気になってしまうくらいだったら、読まないほうがましかもしれんけど。
あと、今気づいたけど、そう感じるのも著者のバイアスのせいかもしれないのでその辺も注意かもしれない。
H19.9.22
「“トウモロコシ”から読む世界経済」
トウモロコシを中心とした穀物市場の現場を著者の商社マンとしての体験をもとに紹介。

内容は、アメリカにおける穀物取引の実際(ペーパーではなく、現物)、マーケットにおける商品としてのトウモロコシ、穀物相場、アメリカの農民のメンタリティ、エネルギー源としてのトウモロコシ、ブラジルやインドネシアにおける農業開発、遺伝子組み換え作物のアメリカにおける扱い、穀物や食料の貿易の観点から見たソ連→ロシアの変遷、今後の展望などなど……。
興味深い話の連続で、改めて考えてみると、よく新書にこれだけの内容を詰め込めたなという印象。

穀物取引の観点からすると、通貨危機も違った光景に見えることに驚きました。
商品、それも穀物の奥深さを感じます。
今のところ、これ以上コモディティに投資する予定は無いけど。
ただ、アメリカの穀物市場では遺伝子組み換え作物が区別されていないのに対して、日本では区別されているという話を聞いて、その辺に裁定機会があるんじゃないかと感じた。
とっくに誰かが気づいてやってるだろう気もするけど、めんどくさいので調べない。

最近はトウモロコシからエタノールを作って自動車の燃料に利用しているけど、食べ物をエネルギー源にするのはどうも抵抗があった。
が、考えてみれば人間を動かすか、車を動かすかの違いでしかない。
でも、需給が逼迫したときに、車を動かすために人間を動かすのを止める、なんてことになったらちょっと空恐ろしいものを感じる。
まあ、それも普段意識していないだけで、それに近いことは現在でも行なわれてるよなぁ……。

ここ最近読んだ本の中で一番勉強になった気がします。
……一番最後に読んだ本なので、そういうバイアスが働いてるだけかもしれんがw

あ、あと、こういう著者の体験を元にした本にありがちな変な自己顕示欲みたいなもの等がほとんど感じられないのも高評価。
H19.9.25
「なぜ株式投資はもうからないのか」保田隆明
これから株式投資を始たいという人にとっては、一度目を通しておいてまず損は無いかと。
いかに証券会社の上客や機関投資家などが、個人投資家に比べて優遇されているのかを教えてくれます。
自分としては戦場や戦い方を選べば、それほど不利にはならないんじゃないかと考えていますが。

また、日本特有の株式市場の問題点等の話題は興味深かったです。
新興市場の話や、IPOの主幹事証券会社のこと、証券会社やアナリストのインセンティブの問題など。

少し視野が広げることができたように思えます。
また、自分が基本的に一般論としての株式市場を念頭に置いて考えていることが認識できたのはかなりの収穫でした。
行動ファイナンスを含め理論的な部分だけでなく、もっと俗な部分にも目を向けながら投資すべきかもしれないと感じました。
H19.10.11
「怪しいお仕事!」北尾トロ
ライターの方の取材や体験談を纏めたもの。

普段の生活では関わらない部分なので、興味深かった。
「必殺掲示人」では、パソ通時代の雰囲気をちょっと窺い知ることができたので、その点も個人的には収穫。
まあ、難しいことは考えずに、興味本位で気軽に楽しく読むのがいいのかな。
章立てになってるので、通勤時にもオススメかも。

内容を、目次からそのまま引っ張ってくると……
・悪徳興信所
・競馬予想会社
・競馬の予想屋
・カギ師
・野球賭博師
・幽霊ライター
・「車で融資」の金融業者
・お寺売買のコーディネーター
・ポーカー賭博屋
・ヌード撮影の仕掛人
・必殺掲示人
・寝室覗き屋

一番興味深かったのは「お寺売買のコーディネーター」かな。
感想は、
年に数回しか関わらないけど、実はこんな風になっていたのか!
っていうか、寺って売買されてたのか……。
といったところ。
俗世間と何ら変わらない、欲と欲が交差する何ちゃらって感じですかね。

野球賭博は関西では結構メジャー(?)だったりするみたいです。
相場の世界に近いものを感じました。
H19.10.16
「生命保険の『罠』」後田亨
著者は元日本生命の営業の人。

ありがちな大手生保やアリコ・アフラックへの批判だけではなくて、一般的に評判の良いソニー生命やプルデンシャル生命の「コンサルティング・セールス」も批判の対象にしています。
批判だけであれば読む気にならなかったかもしれませんが、「じゃあ、どんな保険に入れば良いのか」まで書いてあるのが、本書の良い点。

ちなみに、結論は「プロが入る保険」に入ること。
他分野ではそんなに珍しい概念ではないかもしれませんが……。

「60歳から保障はそのままで、保険料がゼロになる」って売り文句を聞いて「60歳までに必要な保険料を前払いしてるだけじゃん」みたいなことを思わなかった人は読んで損は無いと思います。
H20.6.15
「イスラム金融入門」門倉貴史
サブタイトルは「世界マネーの新潮流」

イスラム金融は、今後確実に世界経済におけるプレゼンスが拡大していくはずなので、知っておくべきだろうと思い読んでみた。
本の内容は、イスラム金融の概要と、イスラム金融を取り巻く世界および各国の状況、といったところでしょうか。
前者は概要程度で、後者が詳しいです。

耳慣れない単語が多いので、以下、備忘録。
なお、Wikipediaに記事があるものはリンクを貼っています。

MEDUSA
著者の主宰するBRICs経済研究所が提唱するイスラム金融の有力な国のグループで、以下の4カ国。
Malaysia マレーシア
Egypt エジプト
Dubai ドバイ
Saudi Arabia サウジアラビア

シャリーア
イスラム法。
シャリーアのうちで、信仰に関わるものはイバダード、日常生活に関わるものはムアラマートと呼ぶ。
法源は、コーランハディース(ムハンマドの時代の慣行(スンナ)をまとめたもの)で、イジュマーとキャースを加える場合もある。
なお、イジュマーはイスラム法学者間の特定の事象に関する「合意」
キャースは新しい事象に関して、コーランやハディースを元に類推した「解釈」

タカフル
イスラム保険。
ファミリー・タカフル(生命保険に相当)とジェネラル・タカフル(損害保険に相当)に分かれる。
Aviva、ミレア、HSBCなどが既にマレーシアでタカフル事業を展開している。

スクークとかシャリーア適格とかは今まで聞いたことがありましたが、タカフルは初耳でした。
日本語でググってみたところ、1200件程度しか引っかかりませんでした。
タカフルの動向については、このサイトでウォッチしていこうと思います。

本当はスクークやイスラム金融の基本的な取引形態であるムラーバハ、イジャーラ、ムダーラバ、ムシャーラカについても触れたかったけど、今回は割愛。
H20.6.22